アベノミクスのもとで働き方改革や生産性向上が叫ばれていますが、「従業員エンゲージメント」の視点が欠けているため、肝心の従業員の立場が軽視されているのではないかと感じています。
こんかいは、この「従業員エンゲージメント」という考え方について、書いてみたいと思います。
エンゲージメントにうまい訳語はないのですが、engagement(エンゲージメント)を英和辞書で引くと、「契約」「婚約」のほか「(歯車などの)かみ合い」の意味が出てきます。この「かみ合い」の意味が近いらしく、従業員エンゲージメントは「企業と従業員の価値観が合っていること」くらいに捉えればよいかと思います。
従業員エンゲージメントの国際比較がいくつか記事になっているのですが、少なくともここ5年、日本は最下位です。
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世界でダントツ最下位!日本企業の社員のやる気はなぜこんなに低いのか? | 社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭 | ダイヤモンド・オンライン
(2013年、米国KeneXa High Performance Institute社の調査をもとにした記事) -
「熱意ある社員」6%のみ 日本132位、米ギャラップ調査 :日本経済新聞(要会員登録)
(2017年、米国ギャラップ社調査をもとにした記事)
従業員エンゲージメントが低いと業績が低下するとは短絡的に言えないとしても、少なくとも仕事に対して積極的に取り組みにくくなる、ということにはなるでしょう。
どうしてここまで日本の従業員エンゲージメントは低いのか。エンゲージメントとは「価値観のかみ合い」という意味でしたから、その観点で私は以下のように感じています。
- 日本の企業には価値観が存在しない。少なくとも明確ではない。
- 日本には、あらゆる価値観を否定的に捉えてしまう人が少なくない。
前者は経営理念の薄さがいろいろ物語っているでしょう。
後者も自分の感覚で調査結果などがあるわけではありませんが、匿名掲示板の書き込み内容などから感じさせられます。(そもそも従業員エンゲージメントが高いことも、「社畜」の一言で切り捨てるわけですし。)
働き方改革の本当の実現のためには、従業員エンゲージメントの向上も重要だと感じています。